冬インテで初サークル参加した話

タイトル通りです。関東住まい実家暮らしの人間が、先日の冬インテ(2019/1/13開催COMIC CITY大阪118)にて1人で初めてサークル参加をし、初めて小説同人誌を発行し、初めてインテに行き、初めて同人誌を頒布したので記念に書き残します。

家人には趣味を隠しており、サークル参加経験のあるリア友はいるのですがクソ恥ずかしくて何も話しておらず、ネット上で気軽に話せるような相手もいなかったので、周りに頼れない方の参考になればという考えもあります。但し指南目的ではないため、このように余計な自分語りがめちゃくちゃ多いとは思います。

なお、BL二次創作同人の話になるため、諸々自己責任でお願いします。調べればすぐ特定出来ますが、ジャンル・CP等は明記していません。そちらに迷惑がかからないように、サークル参加関係の情報だけ欲しい人にとって邪魔にならないように、という2つの理由からです。

 

目次

1.サークル参加の理由

私はもともとネット上(pixiv等)で某作品の某CPの二次創作小説を投稿していました。便宜上、以下ABと表記します。

自分の人格面に自信が無いのでTwitterアカウントはあれどほぼROM専。同人誌は買っていましたが、家人に趣味を隠す関係上、BOOTH・自家通販がなかなか使えなかったり、隠し場所に限界があったり、とそこまで大量に購入していたわけではありませんでした。イベントに至っては去年ABのプチオンリーに行ったのが数年ぶり、それも3,4回目の一般参加という程度でした。

そののんびり同人ライフを一転させたのは、赤ブー主催のABプチオンリーが開催されるというニュースでした。某貴様では開かれていたものの、赤ブーでは実に2年ぶりのオンリーです。界隈は盛り上がりましたが、冬インテ=大阪開催であることを嘆く声も見られました。私も東京でも頼むと要望を出しつつ、ふと気づきました。これ、今回の参加サークル数が次回開催の有無を決めるのでは?

ではもクソも、そりゃそうです。開いて赤ブータグや現地アンケートなども関わるでしょうが、前回オンリーにおける参加サークル数が影響しないわけがありません。

ジャンルやCPによりけりでしょうが、少なくとも私の認識では、推しカプたるABはオンリーの力が大きい、要はオンリー合わせで同人誌を発行されるサークルさんが多いという印象でした。極端な話、オンリーの有無が私が手にできるAB同人誌の数に関わるかもしれない。何か出来ることは、と考えると、一番は私自身がサークル参加することでした。

幸か不幸か、開催日の予定は空いていました。私は土日に予定が入りやすく、本当に空けておけるのか不安はありましたが、最悪当日欠席でもサークル数には貢献できるはず、と割とよろしくない発想のもとに参加申し込みを決めました。最終的に前日も翌日も埋まって地獄を見ましたが、当日は無事に参加できて本当によかったです。

2.サークル参加申し込み

ぎりぎりまでためらっていたので、申し込んだのは2018年11月13日、つまりインテ申込締切の当日でした。後日17日まで延長されましたが。

とりあえずサークルカットを作りました。文字書きに使えるイラストがあるわけもなく、適当に昔撮った写真をgimpでモノクロにしました。小さいので解像度は気にしなくても何とかなったんだと思います。この時点では完全に失念していたため、よくわかりません。後から考えるとあまり拡大して見られることもないので、文字はもっと大きすぎるくらいでもよかったです。

HN、サークル名(思いつかなかったのでHNそのままに近いものにしました)、連絡先、pixivID、AB、小説、ぐらいをgimpで書き、あとはプチオンリーのロゴをダウンロードしてきて貼り付けました。何が出るんだかこの世の誰も知らなかったので、作品の内容などについては全く書いていません。

b2オンラインに登録しエントリーしサークルカットを上げてネット振込で参加費を即時決済。オンリーのページに移動して参加表明。自分の作品傾向としてほのぼのとかシリアスとか甘々いちゃいちゃとかそんなような単語にチェックする必要があり、恥ずか死するかと思いました。サイト全盛期以来の文字列。思い返すとその他が一番無難だった気がします。

コメントも過去の例が見つからず困惑しながら適当に書いたのですが、公開されてみるとプチオンリー開催を祝う声が多いようでした。長さも本当に人によりまちまちで、作法がそもそもないんでしょうか。

一番困ったのが、サーチケことサークルチケットの受け取りでした。安全管理上サークル主の自宅(登録住所)への発送が前提で、局留めはできません。実家暮らし趣味隠蔽タイプの人が最も二の足を踏むところでしょう。一応茶封筒さっぱりデザインで送ってはくれるのですが、うっかり開封されようものなら大惨事です。Twitterで必死で調べた結果、冬インテの場合、例年12月15日ごろに届いているようで、実際2018年もそんなものでした。

サーチケは知人宅などへの発送は可能というか、サークル主が当日不参加でも問題ないので、サークル主を知人にする→知人の住所にサーチケが届く→イベントまでに受け取っておく、ということはできます。着払いでもなし、同人活動に理解があり信頼できる友人がいるならこの方法がいいのではないでしょうか。私は言えませんでしたが。

男同士がセックスする自分の性癖を詰めた本を見知らぬ人に対面で売れるのに、顔見知りには言えない、というの、理性で考えるとわけわからんのですが、本能が耐え難い。

誰にも頼れない人の対策としては、郵便物を自分が回収・仕分する習慣を作っておくことしかないと思います。私はそんな習慣をなじませる時間も無かったので、外側は普通に家人に見られました。あまり同人に知識のない相手で命拾いしましたが、そこそこ知っている人間もいるのでめちゃくちゃ危なかったです。最終手段として友人のチケットを代わりに受け取った、で誤魔化そうとは考えていました。

3.本を作る

サークル参加すると腹を括ったなら、頒布物が必要です。ダミーサークルになってしまう。

せっかくなら印刷所でちゃんと印刷してもらいたかったので、こちらを参考に探してみました。

368c.net

どういう本が作りたいか、がある程度決まっていないと調べようもなかったので、そこからあれこれサイトを覗きつつ考えました。内容ではなく仕様の問題です。

かなり悩みましたが、本自体は少部数・A6文庫・カバー・箔押し、諸々の手続きはWEB入稿・ファイル形式pdfまたはword・RGB形式許容・銀行振込・直接搬入が可能なところという条件で絞ることにしました。後者はともかく文庫本と箔押しに関しては初心者がやるなという話なのですが、私は家族に同人活動を打ち明ける度胸もなく、これが人生最初で最後のサークル参加になるかもしれないと思っていたので、思い切ってやりたいことをやろう、と決めていました。

ただ、文庫は確かにページ数が嵩む分印刷費がかかりますが、小説本に関しては段組みを考えなくていいというメリットがありました。在庫がコンパクトなのも手搬出しやすくて助かりました。印刷費の回収を考えないなら意外とありだと思います。箔押しは論外なので、頒布価格設定の際は箔押し分の費用は引いて検討しました。

個人的に、褒めていい部分があるとしたら直接搬入を条件に入れていたことだと思います。直接搬入は当日イベント会場の自スペースの机下に印刷所さんが段ボールごと本を置いといてくれるタイプで、宅配搬入はイベント会場に送ってくれ、当日は自分で会場内の宅配受け取りまで段ボールを受け取りに行くタイプです。普段は直接搬入非対応でも、大きいイベントではやってくれるところも多いようでした。いくら会場マップを見ていても私はインテ自体初めてでしたし、朝の焦り方が大違いだったと思うので、これは直接搬入で本当に助かりました。

文庫本の字数とページ数、文字サイズなんかはこちらを参考にさせていただきました。

wtrdr.hatenablog.com

あとはヤバイ印刷所スレなんかも見つつ、前述の条件に合うプランを比較し、STARBOOKSさんにお願いすることにしました。予約必須な点はハードルが高いのですが、予約後も締切含めあれこれ仕様変更できますし、無料の会員ページで入稿後の進捗が見られるのはそわそわせずに済んでよかったと思います。それにしたって紙だのページ数だのごりごり変更してすみませんでした。

あと紙に関する知識がなく、現物を見に行くことも難しかったので、取扱用紙の紹介・口コミページがあるのが本当にありがたかったです。

www.starbooks.jp

回し者のようなので微妙な点も挙げると、予約した早割の本文締切(箔押し分早かったカバーは先に入稿していた)が月曜日で、その前の金曜日に入稿したところ、カバーと本文の不備連絡が火曜日の夕方に来て、差し替えたい場合は翌朝9時までに対応するように、という話だった点があります。STARBOOKSさんは土曜日も営業日だと思いますし、20日以上早割だったのでめちゃくちゃ繁忙期というわけではなかったのではないでしょうか。

ただカバーの不備は仕様だと私が事前に言うべき内容でしたし、本文の方も奥付のメールアドレスのリンクが繋がっておりモノクロ印刷だと薄くなる、という大変ご丁寧ご親切な指摘で、そこまであちらにとって余裕のある日程で入稿できたわけでも無かったので、正直不満ではなく、むしろ温情だと思いました。初利用で高額でもないユーザーに真摯に対応していただいたという印象です。

あと私は電話が苦手なので、電話ではなくメールで連絡してもらえるのが推しポイントです。なお、イベント当日はわざわざ私のスペースまで不備がなかったか聞きにいらしてくださったのですごい挙動不審になりました。

 

時系列は前後しますが、本文、というか本の内容作成の話に戻ります。

印刷所をとりあえず予約したので、カバー、表紙、本文を作らねばなりません。表紙は大体カバーと一緒でいいとして、イラスト制作・デザインスキルがない分本文よりカバーの方がやばいと思ったのでそっちから取り掛かりました。

テンプレートをダウンロードし、何とか案を考え、pixivでフリー素材を探し、感謝しながらgimpで配置しました。わからんことがありすぎて逐一ググっては呻きつつやっていたので、gimpの操作ではどこにどうお世話になったのか最早思い出せません。パスで曲線を描いて文字を沿わせるとなんかそれっぽくなります。おそらく。

背幅はカバーの方がSTARBOOKSさんに仕様を登録した段階で表示されてはいたので、他の印刷所さんのツールで表紙との差異を調べたりしつつ、とりあえずで作りました。そもそも何ページになるのかはっきり確証はなかったので、もう何もかも勘です。

断ち切りで切れるとか表紙は背表紙までとかいまいち自信がなかったので、一面に画像を入れるのではなく、小さな素材を細かく置き、各境界を避けることで何とかしました。箔押しをすると決めたので、シンプルでいいかな、と考えていたこともあります。年齢指定の内容になりそうだったので18禁表記も入れましたが、最後の方で色々いじっていたら本当に忘れかけて驚きました。よく聞く話にはやはり学ぶものがあります。

カバーがかろうじて形になったのが10日後くらいだったと思います。逃避で多少進めてはいたのですが、本文にちゃんと取り掛かったのはこの辺からです。

半年前くらいからぼんやり考えていたネタのガバガバプロットがあったので、それを元にもうちょっとマシなプロットを作りました。wordの入った端末が使いにくかったため別端末のLibreでやっていたのですが、縦書きが大崩壊するのでページ切り替えなどを全部手直しする羽目になり、最初からwordでやるべきだったなと後悔しました。Libre、驚くほど書式の互換性がない。

確か32000字くらい書いたところで一回wordに流し込んでみたら盛大にレイアウトが変わったんだったと思います。カバーが大体できてから2週間弱。3日前後でもう10000字くらい書いて、そこから色々ググりながらレイアウトを調整し、各文がページを跨がないように削ったり増やしたりずらしたりして、一応本文は終わりました。pdf化すると縦中横をかけてもなぜかずれる「⁉」をインデントでちまちま中心に持ってくるのが一番辛かったです。長く小説同人をやっていくならpdf化ソフトはword以外に買った方がいいんだと思います。

途中でおよそのページ数がやっとわかったので、カバーの背幅を変更・修正して先に入稿。CMYK変換は諦めRGB形式のままでしたが、技術が進んでいるのか、実物もそれほど差異は感じませんでした。

カバーをほぼコピペする形で表紙もgimpで制作。こっちは箔押ししない分、素材をちょっと増やしたりはしました。本文のpdfファイルと一緒にドン。 

フォントはカバーの方も併せて、このあたりのサイトさんを参考にフリーフォントを使わせていただきました。

albalunaweb.net

 

sscard.monokakitools.net

一通り入稿が終わり、致命的な不備もなく、印刷しました、発送準備ができました、と適宜ご連絡をいただくと、もうこの本に関してできることはありません。

本当なら自宅に分冊配送してもらって確認した方がよかったのでしょうが、趣味隠蔽の件もあり、諦めて会場で出会うことにしていました。当日届いてなかったらどうしよう、と若干の不安を抱えたまま、私生活(この場合公ですが)が忙しく、年明けまでイベントに関してはあまり動いていませんでした。サンプルをpixivに投稿したくらいです。

サンプル、当時はどうpdfをpngにしたらいいのかわからず無理やりスクショで何とかしたのですが、今思うとgimpにぶち込めばたぶん変換できました。

あと永遠の悩みである部数なんですが、小説ということもあってさっっっぱり読めなかったので、最悪全部手で持って帰れる量、家の中で隠せる量にしました。部数を増やせば単価は下がるんですが、1冊も売れなかった場合は刷った分だけ赤字になります。ネット上で多くの個人が言っている通り、売れなくてもなんとかなる量がいちばん気楽でいいのかな、と個人的には思います。

4.直前準備(移動手段と道具と頒布物)

まず移動手段について。先の新刊を入稿するころにはイベント前日と翌日の予定が決まっていたので、選べる手段はたいしてありませんでした。インテと空港があまり近くなさそうだったため、行きは夜行バス、帰りは新幹線に決定。赤ブーの新大阪⇔インテ直行バスの混雑具合が今一つわからなかったので、各駅からは電車でコスモスクエア駅に向かう予定でした。

新刊入稿くらいにバスを、年末に新幹線を予約していたような気がします。バスは4000円~10000円くらいの幅があり悩みましたが、あまり安すぎないものにしました。バスも不慣れでしたし、諸々怖かったので。新幹線はスマートEXで予約したため、駅で切符を受け取る手間がなくて楽でした。

smart-ex.jp

次いで道具。値札立てと釣銭用のコインケースは日用品を買うついでに通販で探しました。届いてみたらコインケースは無駄に大きく、10円やらの列もあったので失敗したと思ったのですが、受け取ったお金をとりあえず使わない列に載せておけるので意外と便利でした。

あの布ことスペースの敷き布は百均で90×90の端切れを買い、端を折り込んでマステで止めました。足元を完全に隠すならもうちょっと長さがある方がよかったのですが、百均だと流石にこれ以上のサイズは見当たりませんでした。ずるずるすべったりはしなかったので十分役立ちましたが。他に百均ではポスタースタンドとしてタブレット台、ラミネーター不要の名刺サイズフィルムも買いました。

お品書きと値札はイベント2日前くらいにgimpで必死こいて作りました。これもフリー素材様様でした。お品書きはA4で、値札は先の名刺サイズのフィルムで覆えるサイズをA4に並べてまとめて印刷しました。お品書きはキンコーズで印刷した後ラミネートもちゃんとしましたが、タブレット台の上でもへにょらなくてよかったと思います。なんとなく同人制作物感があったのも楽しかったです。

頒布物としては結局、新刊に加えて無配×2とコピー本をごく少部数になりました。コピー本はもう1冊出せないか粘っていたのですが書き終わらず、あまりにも途中だったので自前コピーにした次第です。キンコーズの中綴じ製本を使ってみたいという気持ちもありました。せっかくだから、の気軽さでしたが、思いのほかお手に取っていただけてありがたかったです。

www.kinkos.co.jp

無配が2つあるのは、新刊に挟めるサイズの無配にしよう→A7折本という手があるな→字数ぎりぎりまで文章を書いてしまったのでプチオンリーのラリー用ペーパーに必要なロゴが印刷できないサイズ→ラリー用の無配を別にペラ紙折って作ろう、という流れでした。これもキンコーズ印刷で、折る時間がなかったので当日朝せっせと折っていました。

この辺キンコーズの回し者みたいになってますね。A4中綴じ本を作る場合、原稿はA5で作っても大丈夫です。但しメディアから原稿をプリントする部分もキンコーズでやる場合、A4に2枚まとめて印刷は出来ないので、A5の紙で1枚ずつ印刷する必要があります。コピー機にデフォルトでは入っていないサイズなので店員さんにA5くださいと要求する必要があり、まとめて印刷→裁断よりは印刷枚数が増える分お金もかかります。セブンか何かのコピー機は2in1できた気がしますが、1枚のコピー代自体はキンコーズの方がコンビニ系より安いので、学割なんかが使えるなら結局キンコーズだけの方が安いのでは。

回し者と言いつつ、私のせいなのか微妙な感じのコピーミスがけっこう出たので複雑な気持ちがあります。

5.当日

バス停がなかなか見つからず汗だくで乗る羽目になったりはしましたが、幸いにして事故もなく定刻通りに運んでいただき、13日の朝に梅田近辺に到着しました。トイレで身支度を整えるのもそこそこに、コスモスクエア駅に向かいます。大阪の地理に明るくなく、どの駅が混むのかも全くわからなかったので、乗り換え案内が示すままに進みました。中央線、めちゃくちゃ混んでました。カートの人が多いので、思ったより人とは密着しないのですが、とにかく狭い。なお、私は既刊在庫など当然全くないので、カートではなく普通の肩掛けトート×2と小さめリュックでした。4の道具、印刷所にお願いした本以外の頒布物、筆記用具、マステにカッター、ゴミ袋、飲み物食べ物、貴重品、歯磨きセットやら小旅行程度の諸々を詰め込んでそれぐらい。界隈の人と積極的に交流していないのと、いつ席を立てるかわからなかったので、差し入れは用意しませんでした。

コスモスクエア駅は人に流されるまま、と思っていたら意外と人気のないエリアに出てしまってびびりました。どうもホームから改札までも幾つか階段・エスカレーターがあり、インテ方面の出口も2、3個あるため、それなりに分散するようです。タクシーを使う方もけっこう見受けられました。進むのは大変ですが、自信がなければあえて人の多い方に行った方がいいのかもしれません。駅がでかい。

いまいち方角もわからんままカートの人を探しては着いていき、20分くらいかけてインテに到着。事前にサーチケはもっと出しやすくしておくべきでしたし、会場内地図はもっと覚えておくべきでしたが、何とか自分のスペースまでは行けました。机下に本の入ったダンボールがあることも確かめ、不安で机に貼られた番号札を5度見くらいしつつ設営開始。

荷物を置き、パイプ椅子を下ろし、敷布を広げ、という辺りで何から手を付けたらいいのか混乱してきたので、段取りを決めて書き出しておけばよかったなと思います。

一般入場まで2時間足らず。とりあえず無配を折り折り、と思っていたらそれでほとんどの時間が吹き飛びました。45分前くらいに急いでダンボールを開封し、タブレット台を立てお品書きを貼り付け、値札を切ってラミネートし、朝ごはんを食べて、残りの無配を折りながら会場を迎えました。折本の方は作り終わり、ペラ紙の方は残っていましたが、最終的には会場前に折れた分で十分でした。今考えると、あそこまで折らずにトイレに行っておけばよかったなと思います。膀胱が強くて幸いでした。

島中小説サークルということで、人が来てくださるとして午後からと考えていたのですが、4:1くらいの割合で午前にいらっしゃいました。思い返せば過去の私も開場後1.5時間も経つ頃には帰路についていたので、最近はスピード勝負なのかもしれません。

そういう認識だったため、最初に買ってくださった方には大変不審な反応をしてしまい、本当に申し訳なかったです。「アッ!エッ?アリガトゴザイマス!?(モタ……モタ……)アノ……ムハイモ……(モタ……モタ……)アッアリガトゴザイマス……」みたいな感じでした。その後はやっと目が覚めてというか、多少はてきぱき対応できたと思うのですが、数名お越しくださったところで急に「本を売った」という実感が来て手が震え心拍が不安定になりました。再びの不審者です。あまりにも申し訳ない。

一段落したかな、と思ったので12時頃に貴重品と釣り銭を持って買い物に出ました。ABのみ買う予定だったため、当然の如く自スペース周辺にお目当てのサークルさんが並んでいたこともあって、20分くらいで戻りました。

片付けを始めたのは13時45分頃。紙類をごりごりまとめてゴミ袋に突っ込み、ダンボールを開き、まではよかったのですが、残った新刊と戦利品の収納に四苦八苦しました。無配の紙と食べ物ぐらいしか減ってないのでそりゃそうです。直前が忙しく、ダンボールを用意したりセルフ出荷を詳しく調べたりする時間が無かったため手搬入手搬出にしましたが、どちらかは宅配をお願いできるように準備しておいてもよかったと思います。ただ搬入だと朝に受取の手間がかかり、搬出だと荷物の大きさがさっぱり読めないので、初心者にはいずれにせよ一長一短だったような気もします。

14時15分頃にはなんとか撤収しました。色んな人が色んな道に別れて若干戸惑いましたが、来た道を戻ればいいのでさすがにそこまで迷いませんでした。電車も混んでいましたが、始点だけあって行きよりは楽でした。新幹線はインテ出発から2時間は見ておくと余裕があるかと思います。

当日の対応についての反省点は溢れる程ありましたが、一番事前にもっと対策できたと感じたのは、年齢確認に関してでした。

人の年齢を見抜く自信が全くなかったため、どんな方であろうと新刊をご購入いただく場合には年齢確認をしようと決めていました。幸いどなたも優しく身分証を見せてくださったのですが、どこに生年が書いてあるのかぱっと分からず、大変もたついてしまい申し訳なかったです。運転免許証くらいは確認しておくべきでしたし、西暦と年号両方で何年以上がOKラインなのか覚えておかないとダメですね。形式上、念の為、と低姿勢でお願いしたのは悪くなかったのではないかと思います。

買い手としても住所氏名のマスキングをすっかり忘れておりやらかした感がありました。されている方は少なかったようでしたが、売り手としても不要な部分がマスキングされていると必要以上に個人情報を見ない・生年の位置がすぐわかるといいことずくめだったため、今度機会があれば忘れないようにしたいです。日常生活に戻る時に忘れずマスキングを外さないとだいぶ怪しいでしょうが。

あとはサークル入場時間中は頒布できない、というのはサーチケが届いた時にはじめて知りました。交換や単に譲渡する分には構わないようですが、いわゆるお金を払って買って、は禁止らしいです。常識なのかもしれませんが、私は本当に意外でしたし買い物どうしよう……と思いました。ひとり参加だと、買い手の面ではサークル参加による恩恵はほとんどないですね。取り置きをお願いできるような仲なら事前に連絡するでしょうし。

6.まとめ

一連のあれこれ、何やってんだろうと我に帰ることも多く、お金もそれなりにだいぶけっこう飛び、周囲に露見しやしないかとめちゃくちゃに冷や汗をかきましたが、総じて言えば貴重で楽しい経験でした。

締切にどきどきしながら原稿を作ること、自分の書いたものが特殊加工までされて本になること、イベントで買っていただくこと、どれも自分の人生にあることだと思っていなかったので、その新鮮さ、面白さ、嬉しさが恐怖や不安に勝った結果だと思います。

実のところイベントに対する不安としては、知り合いのいない状況で大丈夫なんだろうか、という点がありました。最近はネット上で繋がった親しい相手と交流することがイベントのメインなのでは、という不安です。

蓋を開けてみるとそんなことは全くなく、というと語弊がありますが、本質はやはり売って買って、だと感じました。そのためのイベントなので当たり前ですが、他のサークルさんを見ても、ぱっと買ってさっと去る方が大半でした。思っていたより誰もが孤独でした。

もちろん、買いに来てくださる方がいらしたこと、私のような状況でも暖かいお言葉をかけてくださる方もいらしたこと、私の一番の目的がサークル参加の時点で果たされていたこと、そういう個々の事情と幸運は大いにあるとは思うのですが、積極的に交流しないタイプの人もその点で恐れる必要はないのでしょう。

私は、作品やキャラが好きなことは大前提として、同じ嗜好の人と楽しみながらも、人間というものに煩うことなく、関わる相手を選べる、いざとなったらひとりでやれる、というのが、非営利であり現実と乖離した二次創作の良い点のひとつではないかと考えています。私が書いたものを好んでいただけるのは本当に、ものすごく、嬉しくはあるのですが。

だから二次創作をする私は、気軽に楽しんで、気軽に忘れていただける存在でありたいです。改めてそう思えたのが、今回のなによりの学びでした。このくだり、明後日ぐらいには羞恥でのたうちまわること必至ですが、せっかくここまで書いたので残しておきます。